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『絵のお医者さんがやって来た − 岩井希久子・熊本地震被災作品・公開修復展 −』

会期: 2019年10月26日(土)ー 11月4日(月)/ 特別内覧会: 2019年10月12日(土)ー 14日(月)
会場: 御船町恐竜博物館 交流ギャラリー 〒861-3207 熊本県上益城郡御船町大字御船995-6
主催: 熊本地震 田中憲一の画を救う会
共催: 御船町、御船町教育委員会、(一社)アートネットワーク熊本みふね

2016年、熊本地震の二度にわたる震度7の激震には、震源地の近い御船町にも大きな災害を もたらしました。その中で、御船町滝川の独立美術協会会友だった画家・田中憲一(1926- 1994)のアトリエは全壊し、その後の梅雨はさらに作品に大きなダメージを与えました。 一ヶ月後、水方も被災した町民有志とボランティアが「このままではわが町の宝が失われて しまう」と現場に駆けつけ、屋根の瓦を剥ぎ隙間を作って作品を1展ずつ救出しました。 その後、熊本県立美術館学芸員が熊本出身の絵画保存修復家の岩井希久子に相談し、筑波大 学芸術系の松井敏也教授とともにボランティアで駆けつけ、作品保全の方策を提案し、日本 の震災史でも油彩画では初の規模といわれる「田中憲一作品修復プロジェクト」が始まりま した。行政も協力し、地震から復興を願い作品修復に取り組むことになりました。多くの企 業・団体・個人からの支援を受け、作品の修復と保全活動を続けて3年、この修復プロジェク トの途中経過の報告として本展を御船町で行うことになりました。修復が終わった作品、途 中の作品、修復用具なども展示し、美術品を未来につなぐ活動について考えたいと思います。

<プロフィール>
岩井 希久子(いわい・きくこ)/ 絵画保存修復家(コンサヴェター)
(有)IWAI ART保存修復研究所 代表取締役
IIC国際保存修復学会、文化財保存修復学会会員
1955年熊本県生まれ。1974年に父親が熊本県立美術館建設準備室長をしていた関係で、絵画修復 の仕事と出会う。1980年に渡英し、ロンドン、ナショナル・マリタイム・ミュージアムで修復技術 を学び1984年に帰国。以後、フリーランスとして、モネ、ゴッホ、ピカソといった名画の修復を手 がけるほか、現代アートセル画など多様な表現の修復にも挑む。1986年からは、ゴッホ展など数多 くの国際巡回展の保存修復を行う。1998年に絵画をエイジングさせない画期的な作品保存方法「脱 酸素密閉」(特許出願中)を発案開発する。このほか、日本の匠の技を生かした修復を行うなど、 独自の修復技術を常に探求し続けている。2012年度佐倉市民栄誉賞受賞。現在ベトナム戦争の影響 で放置されたままとなっていたベトナムの国民的画家、グエン・ファン・チャンの絹絵作品や、熊本 地震で罹災した油彩画作品の修復を行っている。2019年3月、文化庁主催シンポジウム「芸術資産を いかに未來に継承発展させるか」に登壇。そのほか、美術品保存修復の講演会を全国で行なっている。

主な著書
『モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事』(美術出版社/2013年)
『ソリストの思考術 修復家・岩井希久子の生きる力』(六曜社/2014年)

主な出演番組
1980年:『若い広場』「美術の職人たち」(NHK教育テレビジョン)
2010年:『プロフェッショナル仕事の流儀 ― 母の覚悟でピカソに挑む』(NHK総合テレビジョン)
2011年:『旅のチカラ ― 幻の絹絵よ!よみがえれ』(NHKBSプレミアムテレビジョン)
2011年:『美の巨人たち ― 山下清』(テレビ東京)
2011年:『フェルメール特番 ― 手紙を読む青衣の女 ~絵画修復家~』(テレビ朝日)
2012年:『プロフェッショナル仕事の流儀 ― 言葉のチカラスペシャル』(NHK総合テレビジョン)
2013年:『プロフェッショナル仕事の流儀 ― 技を極める心得スペシャル』(NHK総合テレビジョン)
2013年:『徹子の部屋』(テレビ朝日)
2017年:『ダイレクトトーク』(NHKWORLD )
2017年:ドキュメンタリー映画『記憶を繋ぐ人々』
2017~2018年:『幻の名画を救え 岩井希久子世界初の修復に挑む』(NHK  BS1スペシャル)
2018年:『夢の鍵』『絵画はわが子ゴッホ、ピカソの保存修復家』(BS TBS)
2018年:『ドキュメント九州 “未来へつなぐ熊本地震もうひとつの震災レスキュー”』(テレビ熊本)

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