『27』の第三弾となるVol.0327-03は「バスクシャツ」です。フランスとスペインにまたがるバスク地方で漁師や船乗りの仕事服として16世紀に誕生したと言われるバスクシャツは、後にフランス海軍の制服としても採用された、歴史あるベーシックウェアの一つです。世界中で愛され続けるこのアイテムを『27』の視点で最高の一着に仕上げたいと考えています。
 
染色について
まず、私たちが特にこだわったのは「色」の再現です。大空をイメージしたこの神秘的な「青」(International Klein Blue)は、1957年にフランス人画家イヴ・クライン(Yves Klein)によって開発された「黄金よりも高貴な青」であり、私たち『27』を象徴するプロジェクトカラーでもあります。鮮やかで深みのある、この特別な色を化学繊維は使わずにコットンだけで忠実に再現するために、私たちは熟練職人を擁する染色工場とパートナーシップを結びました。通常は23回で終えられるビーカー手配(カラーマッチングの試験)を8回繰り返し、生地になる前の段階(すなわち糸の状態)で丁寧に染色することで、私たちは遂に理想的な発色の再現に成功しました。
 
素材について
発色の拘りと同様に工夫を重ねたのは素材です。私たちが目指したのは“繊細かつ頑丈な素材”のバスクシャツ。本来は相反する要素であるこのふたつを両立させるために、度詰めが可能な旧式のニット編み機(島精機SFE 14GG)を選択しました。現在、日本全国でもごく僅かしか稼働していない、この希少な編み機を使用して質の高いスクールセーターを長年作り続けている四国の優良ファクトリーの協力によって、編み立てから縫製までの工程を一枚ずつ丁寧に行いました。糸そのものはインドの超長綿を使用し、拠り方を工夫して毛羽立ちを抑えたなめらかなコンパクトスピニング糸に仕上げました。こうして度詰の効果を最大限に生かすことで、ニット生地でありながらも形崩れが起きにくい、長年の着用に耐えうる強さと上質感を兼ね揃えた素材に辿り着いたのです。
 
縫製について
私たちが提案するVol.0327-03>は一般的なバスクシャツのように一気に生地を作ってから裁断縫製を行うカットソー仕立てのものではなく、それぞれのパーツを一枚ずつ丁寧に編み下ろした後に繋ぎ合わせます。また、一般的に親しまれている従来のカットソー縫製で作られたバスクシャツのカジュアルな着心地を損なわないように、パターンについても細部まで拘りました。
 
例えば、襟ぐり(首元)部分は直線的な裁断ではなく、人間の身体に沿うようにカーブさせることで、着用時により美しく見えるよう工夫しました。シンプルな形の中に多様なテクニックを盛り込み、ニットの立体感とカットソーのシンプルさを併せ持つ着心地を実現させています。
 
また、素肌に着用した際の肌心地の良さや、Tシャツやシャツの上に重ね着をしてもごわつかない動きやすさを目指し、パターンサンプルの製作を何度も繰り返しました。丁寧な縫製とサイズ感の絶妙なバランス調整により現代的なバスクシャツが完成しました。
 
27のベーシックを提案するプロジェクト”27” Vol.03
<27-01>に続き、私たちが提案する<27-02>は「チノパン」です。ミリタリーウェアをルーツに持つこのアイテムも、今や世界中で愛用されている街着の定番品となっています。多くの人が一度は穿いたことのあるこの見慣れたアイテムを、私たち『27』の視点で最高の一本に仕上げたいと考えています。   19世紀に軍隊の制服として生まれたチノパンは「チノ・クロス」と呼ばれる頑強なコットンツイル生地で作られたパンツを指します。誕生から長い年月を経て、現在ではジーンズに並ぶ街着の定番品として世界中でボーダレスに愛されています。このベーシックアイテムをもとに、私たち『27』はチノパンの縫製と素材を一から見直し再構築しました。通常、チノパンはカジュアルパンツを生産する工場で作られますが、今回私たちはドレスパンツ工場にチノパンの生産を依頼しました。この工場は日本で70年以上にわたりドレスパンツ一筋を貫いてきた、まさにパンツのスペシャリストです。熟練の職人達によって作られる私たちのチノパンには、パターンやアイロンワーク、縫製など全ての点においてスーツのパンツを作るような手間と技術が惜しみなく注ぎ込まれます。   もっともシルエットを左右するポイントは、股グリを縫い合わせる工程の違いです。ドレスパンツ工場では、股グリに余分なシワのない綺麗なシルエットを作るためにカジュアルパンツ工場よりも多くの手間をかけて縫製します。特殊ミシンで縫い上げたヒップラインもバックスタイルの美しさを際立たせます。また、ミリタリーパンツならではの縫製仕様を何度も確認しながら、細部にこだわった玄人好みのディテールも特徴の一つです。さらに、このチノパンはウエスト寸の補正が可能で、体型が変化しても長年着用できる仕様になっています。   生地は綿100%にもかかわらず自然な光沢とドライな肌触りを特徴としたオリジナル素材を使用し、チノパン特有のゴワゴワ感がまったくありません。縫製する糸やボタン、裏地に至るまでドレス、カジュアル、国籍、性別、年齢と様々な角度からこれからの定番品に相応しいものを選びました。また、通常は紙芯を使用するポケット部分には布芯を選びました。これにより、着用を繰り返すなかでポケット口が開いてくることを抑え、美しい経年変化を楽しむことができます。シンプルでありながら、見えないところまでこだわりが詰まった一本です。   27のベーシックを提案するプロジェクト”27” Vol.02 https://readyfor.jp/projects/27-02-clothing   『27』は、全27品目の洋服(クローゼット)で完結します。そのため時間はかかりますが、年に3〜5品目ずつを目指し、<READYFOR>で少しずつ発表していきます。商品の一つひとつにはロットナンバー(生産枚数)がプリントされるため、見た目は酷似していますが実はその人だけのナンバーが存在し、私たち人間のように同じものは一つとしてありません。   本プロジェクトが最初に製作するのは、シンプルなグレー色(杢)のTシャツです。Tシャツは『27』にとってだけでなく、世代・人種・性別を超えて世界中の人にとって必要不可欠な存在なのではないでしょうか。20世紀から21世紀にかけて様々な素材やデザインが登場して以来、Tシャツはアンダーウェアとしてだけでなくファッションとして多くの人を魅了してきました。今や一つの衣服という枠を超えて、その人の表現の一つと言っても過言ではありません。そのため、本プロジェクトをスタートするにあたり、製作する1品目はTシャツに決めていました。では、どのようなTシャツが『27』として最も的確な表現なのか。考えた末に作るのはこのTシャツです。   まず、Tシャツの起源ともいえる直線的なパターンをアウターとして着用できるよう身幅をゆったりと広げました。また、素材には糸を製造する工程で削り落とされる綿(落綿)を再利用して生産された、現代的かつ肌触りの良い生地を使用しています。落綿には短い繊維が多く含まれているため、糸には自然とムラができます。そのムラが生み出すヴィンテージ感と柔らかな着用感が好まれて、デビューから30年近く経った今でも洋服好きの心をとらえて離さないサスティナブル・ファブリックの一つです。柔らかさを保ちつつ、型崩れをできるだけ軽減するために、まず生地を縮ませてから縫製し、さらにそれを再度洗いにかける、通常では行わない工程を踏んでいます。そして、現代的なパターンと良質な生地を国内屈指の縫製技術によって一着ずつ丁寧に仕上げたこのT シャツは、これから先の時代も長く愛され続け、どんなものにも自由にコーディネートができる究極の一品だと確信しています。   27のベーシックを提案するプロジェクト“27” Vol.01 https://readyfor.jp/projects/27-clothing
Copyright © 2020 Yosuke Fujiki Van Gogh all right reserved.