『27』の4着目のリリースとなるVol.04<27-04>は「白いシャツ」です。 その起源は古代ローマまで遡ると言われており、中世以降は身体に直接触れる肌着として日常的に着用されてきたシャツですが、19〜20世紀にかけてシャツに求められるシチュエーションが多様化したことにより、その後は肌着としてだけでなく様々な形に姿を変えながら現代人の生活にも溶け込んでいます。中でも「白いシャツ」はビジネスシーンや冠婚葬祭など、ややフォーマルな場面で着用されることが多いのではないかと思います。本プロジェクトでは、現代人にとっても必需品である「白いシャツ」を『27』の視点で、最高の日常着に仕上げたいと考えています。 生地について 『27』が選んだ究極の白いシャツは80番双糸のブロード素材です。もしかすると、良質なシャツ生地を想像する時に「シルキーで高番手、生地そのものが非常に薄いもの」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、私たちは日常着として必要な生地の厚みや強度、吸水性を求めるため、一般的な高級シャツに見られる「きめの細かい薄手の生地」ではなく、少し厚手の生地の中で究極の肌触りやコシ、滑らかさを持つ生地を探しました。近年では低価格の高番手生地が市場に溢れていますが、原綿自体が最高品質の綿花であることが重要だと考えたためです。例えるなら最高のお米を探すような、シンプルであるがゆえに非常に難しい判断を繰り返した結果、現在では市場に殆ど流通していないクオリティの、ラグジュアリーとベーシックを同時に感じることのできる特別な生地を見つけることができました。 世界中に無数にある白いシャツ生地の中で『27』が選んだのは、スイスの美しい水と透き通った空気の下、100年前からシャツ生地を生産し続けているALUMO社の生地です。ALUMO社は高級なコットンシャツを中心に展開しているテキスタイルメーカーで、HermesやBRIONIといったラグジュアリーブランドを顧客に持つことで知られていますが、その品質の高さを今回改めて感じることが出来ました。生地を織る前の糸の状態から、良質な綿花の繊維を傷めないように人の手で一つ一つ丁寧に摘んでいき、成熟にあわせて必要であれば更に何度も摘んでいきます。職人の技と想いによって手間隙をかけて収穫されたものから作られているのです。 また、環境問題に熱心なスイスならではの質の高い仕事により、生地の生産過程においてホルマリンを一切使用せず、近代的な織機で長年蓄積された生産技術によって揺るぎない品質を実現しています。1世紀前から当然のようにサスティナブルなものづくりを行っている姿勢にも共感し、品質がそれを証明していると感じたため、無数にある選択肢の中からこの生地を選びました。 縫製について 今回『27』は、1988 年の創業以来、着心地のための手間隙を惜しまず、高品質なドレスシャツを作り続けてきたHITOYOSHIに縫製を依頼しました。クラシックを理解した上でカジュアルにも着られる白いシャツに仕上げるため、縫製面においても様々な工夫を重ねました。先ず、襟を美しく表現するために、襟の表地と裏地の大きさを変えて生地を裁断しています。表裏の大きさが違うものを丁寧に合わせて縫うことによって縫い上がった襟は自然なカーブを描きます。湾曲した特注の押え器具がついたミシンを使用して縫製を行うことにより襟の表裏の生地を数ミリほど長さを変えて縫製し、更に立体感を持たせることができます。着用した状態の襟元を見ると美しい曲線を描いていることがおわかりいただけると思いますが、この一手間をかけることで洗濯しても首のラインに襟が自然に沿い、着用感が増します。 幅広いコーディネートにお応えするために、ボタンを外したときにも襟元が美しく立ち上がるように台襟を工夫しました。台襟は先端に向かうほど上へとカーブしていますが、身頃に襟を縫い付ける際には熟練した技術が必要となります。カーブすることで台襟ボタンを閉じたときに首周りの吸い付きが格段に上がり、ステッチ(運針幅)がシャツの印象を左右します。ステッチが細かいほどシャツはやわらかくエレガントに見えるため、一般的なワイシャツは3cm間に16〜18 針ですが、『27』のシャツは、21〜24針に設定されています。この細かなステッチによってシャツ全体が洗練された雰囲気に仕上がります。 「ガゼット」と呼ばれる裾のサイドに取り付けられたマチは、着用時に生地が裂けないように補強する役割があります。補強という機能性だけでなく、デザインの一つとしても「ガゼット」を取り入れました。また、全体の印象に大きな役割を果たすボタンについても、 天然の貝釦を使用しています。貝釦にはいくつか種類がありますが、白蝶貝のものを採用。天然の貝釦は原貝から形をくりぬき、成形、加工とたくさんの工程を有しますが、それは真珠と同様の加工方法を施していく芸術品でもあります。 シャツの内側の始末にも気を遣っています。脇の縫い目を裏から見ていただくと、縫い代が見えず袋状に内側に縫い込まれ、フラットに仕上がっていることがわかります。これは巻き伏せ本縫いという高度な技術です。また、縫い幅を細くすることでシルエットがすっきり仕上がり裏の縫い代が肌にあたってゴロつくことがなく、着心地がよくなります。袖の付け方は、腕の動きがスムーズになるようジャケットと同じように前振り袖を採用しています。腕の可動域が広がるように、袖下と脇の縫い合わせの工程を分けています。立体的でとても着やすい仕様ではありますが、縫製となると誰もが簡単に縫えるものではありません。工場の職人の中でも数名しかこの方法で縫えませんし縫製時間もかかりますが、すべては着心地を最優先にするためのこだわりです。 今回のVol.04<27-04>はこれまでの販売方法とは異なり、生地の生産の関係で70枚分限定でのご用意となります。日本は勿論、スイスにもこの生地はこれ以上残っていないためです。その原因の一つとして、最良の綿花を使っているのにもかかわらずシルキーな高番手生地を好まない私たちのような非合理的なオーダーが世界中で減っているからだと思われます。解りやすさや多数の共感が求められる時代の中で、唯一性を持ったこのような生地が今後も生産され続けることを私たちは願っています。(良質な生地を前提とした上で)生地の選択は一つでも多い方が豊かだと思いますし、一度忘れ去られることによって失うものの大きさと意味は、計り知れないのではないでしょうか。『27』は希少性の高いものを残すプロジェクトではありませんが、良質なものは積極的に未来に繋いでいきたいと思っています。またと無いこの機会に是非、最高の「白いシャツ」をお選びになってみてください。 27のベーシックを提案するプロジェクト”27” Vol.04 https://readyfor.jp/projects/72141
『27』の第三弾となるVol.0327-03は「バスクシャツ」です。フランスとスペインにまたがるバスク地方で漁師や船乗りの仕事服として16世紀に誕生したと言われるバスクシャツは、後にフランス海軍の制服としても採用された、歴史あるベーシックウェアの一つです。世界中で愛され続けるこのアイテムを『27』の視点で最高の一着に仕上げたいと考えています。
 
染色について
まず、私たちが特にこだわったのは「色」の再現です。大空をイメージしたこの神秘的な「青」(International Klein Blue)は、1957年にフランス人画家イヴ・クライン(Yves Klein)によって開発された「黄金よりも高貴な青」であり、私たち『27』を象徴するプロジェクトカラーでもあります。鮮やかで深みのある、この特別な色を化学繊維は使わずにコットンだけで忠実に再現するために、私たちは熟練職人を擁する染色工場とパートナーシップを結びました。通常は23回で終えられるビーカー手配(カラーマッチングの試験)を8回繰り返し、生地になる前の段階(すなわち糸の状態)で丁寧に染色することで、私たちは遂に理想的な発色の再現に成功しました。
 
素材について
発色の拘りと同様に工夫を重ねたのは素材です。私たちが目指したのは“繊細かつ頑丈な素材”のバスクシャツ。本来は相反する要素であるこのふたつを両立させるために、度詰めが可能な旧式のニット編み機(島精機SFE 14GG)を選択しました。現在、日本全国でもごく僅かしか稼働していない、この希少な編み機を使用して質の高いスクールセーターを長年作り続けている四国の優良ファクトリーの協力によって、編み立てから縫製までの工程を一枚ずつ丁寧に行いました。糸そのものはインドの超長綿を使用し、拠り方を工夫して毛羽立ちを抑えたなめらかなコンパクトスピニング糸に仕上げました。こうして度詰の効果を最大限に生かすことで、ニット生地でありながらも形崩れが起きにくい、長年の着用に耐えうる強さと上質感を兼ね揃えた素材に辿り着いたのです。
 
縫製について
私たちが提案するVol.0327-03>は一般的なバスクシャツのように一気に生地を作ってから裁断縫製を行うカットソー仕立てのものではなく、それぞれのパーツを一枚ずつ丁寧に編み下ろした後に繋ぎ合わせます。また、一般的に親しまれている従来のカットソー縫製で作られたバスクシャツのカジュアルな着心地を損なわないように、パターンについても細部まで拘りました。
 
例えば、襟ぐり(首元)部分は直線的な裁断ではなく、人間の身体に沿うようにカーブさせることで、着用時により美しく見えるよう工夫しました。シンプルな形の中に多様なテクニックを盛り込み、ニットの立体感とカットソーのシンプルさを併せ持つ着心地を実現させています。
 
また、素肌に着用した際の肌心地の良さや、Tシャツやシャツの上に重ね着をしてもごわつかない動きやすさを目指し、パターンサンプルの製作を何度も繰り返しました。丁寧な縫製とサイズ感の絶妙なバランス調整により現代的なバスクシャツが完成しました。
 
27のベーシックを提案するプロジェクト”27” Vol.03
<27-01>に続き、私たちが提案する<27-02>は「チノパン」です。ミリタリーウェアをルーツに持つこのアイテムも、今や世界中で愛用されている街着の定番品となっています。多くの人が一度は穿いたことのあるこの見慣れたアイテムを、私たち『27』の視点で最高の一本に仕上げたいと考えています。   19世紀に軍隊の制服として生まれたチノパンは「チノ・クロス」と呼ばれる頑強なコットンツイル生地で作られたパンツを指します。誕生から長い年月を経て、現在ではジーンズに並ぶ街着の定番品として世界中でボーダレスに愛されています。このベーシックアイテムをもとに、私たち『27』はチノパンの縫製と素材を一から見直し再構築しました。通常、チノパンはカジュアルパンツを生産する工場で作られますが、今回私たちはドレスパンツ工場にチノパンの生産を依頼しました。この工場は日本で70年以上にわたりドレスパンツ一筋を貫いてきた、まさにパンツのスペシャリストです。熟練の職人達によって作られる私たちのチノパンには、パターンやアイロンワーク、縫製など全ての点においてスーツのパンツを作るような手間と技術が惜しみなく注ぎ込まれます。   もっともシルエットを左右するポイントは、股グリを縫い合わせる工程の違いです。ドレスパンツ工場では、股グリに余分なシワのない綺麗なシルエットを作るためにカジュアルパンツ工場よりも多くの手間をかけて縫製します。特殊ミシンで縫い上げたヒップラインもバックスタイルの美しさを際立たせます。また、ミリタリーパンツならではの縫製仕様を何度も確認しながら、細部にこだわった玄人好みのディテールも特徴の一つです。さらに、このチノパンはウエスト寸の補正が可能で、体型が変化しても長年着用できる仕様になっています。   生地は綿100%にもかかわらず自然な光沢とドライな肌触りを特徴としたオリジナル素材を使用し、チノパン特有のゴワゴワ感がまったくありません。縫製する糸やボタン、裏地に至るまでドレス、カジュアル、国籍、性別、年齢と様々な角度からこれからの定番品に相応しいものを選びました。また、通常は紙芯を使用するポケット部分には布芯を選びました。これにより、着用を繰り返すなかでポケット口が開いてくることを抑え、美しい経年変化を楽しむことができます。シンプルでありながら、見えないところまでこだわりが詰まった一本です。   27のベーシックを提案するプロジェクト”27” Vol.02 https://readyfor.jp/projects/27-02-clothing   『27』は、全27品目の洋服(クローゼット)で完結します。そのため時間はかかりますが、年に3〜5品目ずつを目指し、<READYFOR>で少しずつ発表していきます。商品の一つひとつにはロットナンバー(生産枚数)がプリントされるため、見た目は酷似していますが実はその人だけのナンバーが存在し、私たち人間のように同じものは一つとしてありません。   本プロジェクトが最初に製作するのは、シンプルなグレー色(杢)のTシャツです。Tシャツは『27』にとってだけでなく、世代・人種・性別を超えて世界中の人にとって必要不可欠な存在なのではないでしょうか。20世紀から21世紀にかけて様々な素材やデザインが登場して以来、Tシャツはアンダーウェアとしてだけでなくファッションとして多くの人を魅了してきました。今や一つの衣服という枠を超えて、その人の表現の一つと言っても過言ではありません。そのため、本プロジェクトをスタートするにあたり、製作する1品目はTシャツに決めていました。では、どのようなTシャツが『27』として最も的確な表現なのか。考えた末に作るのはこのTシャツです。   まず、Tシャツの起源ともいえる直線的なパターンをアウターとして着用できるよう身幅をゆったりと広げました。また、素材には糸を製造する工程で削り落とされる綿(落綿)を再利用して生産された、現代的かつ肌触りの良い生地を使用しています。落綿には短い繊維が多く含まれているため、糸には自然とムラができます。そのムラが生み出すヴィンテージ感と柔らかな着用感が好まれて、デビューから30年近く経った今でも洋服好きの心をとらえて離さないサスティナブル・ファブリックの一つです。柔らかさを保ちつつ、型崩れをできるだけ軽減するために、まず生地を縮ませてから縫製し、さらにそれを再度洗いにかける、通常では行わない工程を踏んでいます。そして、現代的なパターンと良質な生地を国内屈指の縫製技術によって一着ずつ丁寧に仕上げたこのT シャツは、これから先の時代も長く愛され続け、どんなものにも自由にコーディネートができる究極の一品だと確信しています。   27のベーシックを提案するプロジェクト“27” Vol.01 https://readyfor.jp/projects/27-clothing
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